ビジネスを始めるなら、知っておきたい商標とドメインの基礎知識 #dualwork

複業でも起業でも新規事業やサービス展開を行う上で、商標とドメインの取得は欠かせないものです。これらは申請・登録された順に使用権が決定するため、もたもたしていると他社に利用されてしまう可能性もあります。

泣く泣く名称を変える事態を防ぐためにも、ビジネスを始めるならばしっかりと基礎知識として覚えておきましょう。

本記事では、商標やドメインを取得する重要性にピンと来ていない人や、これから複業を始める人に向けて、そもそも商標やドメインとは何か、なぜ取得する必要があるのか? そして、登録の仕方のリアルについてご紹介します。

商標・ドメインの役割

ビジネスに携わる方であれば、一度は商標やドメインといった言葉を耳にしたことがあると思います。最近でも、某YouTuberがこれまで利用してきたグループ名称を所属する会社に商標として抑えられ、再出発せざるを得なかったニュースがありました。こうしてみると、実は身近なところにも商標を軽んじてしまったために発生するトラブルは潜んでいます。

商標とは

商標とは「自社製品と他社製品を見分けるための目印」のことです。ビジネスやサービスなどの名称だけでなく、意匠と言われるロゴマークなども商標登録することで、国から「商標権」という法的な独占権を与えられます。

商標を登録しないと、複数の企業や人が同じカテゴリー内で同じ名称のサービスを提供できるため、当事者のみならず顧客も混乱してしまいます。そのため自社の製品やロゴを特許庁に登録する商標登録制度が整備されているのです。

メインとは

ドメインとは、いわば「インターネット上の住所」のことです。自社サイトで使われる「https://www.〇〇〇〇.com 」 「https://〇〇〇〇.jp 」、メールアドレスの@以降の「〇〇〇〇.com 」「〇〇〇〇.jp」 などの文字列部分がドメインにあたります。

会社名やサービス名、店舗名をドメインにすることで、信頼感を与えることにもつながります。直接入力して検索する頻度は少ないため軽視されがちですが、インターネットを使ってビジネスをする上でとても重要な要素になっています。

ビジネスを始めるなら、今すぐ商標とドメインを取得すべき

複業として長く自分のビジネスを続ける覚悟を決めたなら、自社で提供するサービスならびに社名については今すぐ商標とドメインを一緒に取得してしまいましょう。商標とドメインをセットで考える必要があるのは、両方とも「名前」という共通点があるだけではなく「先着順」で受付される厳格なルールがあるからです。つまり、同じ商標やドメインを取得したい人が複数いた場合、最も早く申請登録した人だけが使用することができます。そのため、自分が希望する名称を取り損ねてしまうと、止む無く商品やサービス名、ロゴなどを再考しなければなりません。

特に、商標に関しては注意が必要です。競合他社に商標権があるのに同じ名前を使用してビジネスを行うと、ほぼ確実にトラブルに発展するからです。

実際に起きた例として、「堂島ロール」などのロールケーキの販売で有名な株式会社モンシュシュの商標権侵害のケースがあります。社名とサービスが入り交じる複雑な事件になるのですが、簡単に説明すると、

① 販売している堂島ロールのパッケージに会社名の「モンシュシュ」を表記していた
② 実は、他社が「モンシュシュ」というケーキ名を商標として以前から登録し販売していた
③ 結果、モンシュシュ社による商標権侵害が成立し、約5,140万円の損害賠償を命じられた

というものです。

このように、商品名が商標として同一になる場合だけでなく、パッケージ上に会社名としての記載をすることも商標侵害になるのです。当然ですが「法の不知はこれを許さず」の原則通り、法律で認められている権利を侵害した以上、従わざるを得ないのです。

また、商標登録を行わずに商品名やロゴなどを使用していると、知らない間に競合他社が商標登録し、自社で商標権の侵害を犯してしまう可能性すらありえます。そのようなことがないようにするためにも、事前に商標は確実に取得しておきましょう。

商標・ドメインの取り方

以下では、それぞれの取得方法について概略を解説します。

商標の取り方

①出願したい商品名・サービス名やロゴを決める

先ほどもお伝えしたとおり、商標は登録した順に使用権が決まります。そのため、既に同じ商品・サービス名やロゴなどが出願されている可能性もあるので、商品名やサービス名はサービス提供前にいくつか候補を用意しておくと良いでしょう。

②すでに登録・出願されている先行商標を調査する

経済産業省 特許庁の特許情報プラットフォームより、商標を無料で調査することができます。検索欄から同じ商標が使われているかどうかを確認して、事前に重複する商標を出さないように注意する必要があります。

なお、全く同じ商標が届け出られていても諦めるのは早いです。調査するポイントは、先に登録されている商標の「指定商品・指定役務」まで確認することです。「指定商品・指定役務」とは、その商標の用途やカテゴリーに当たります。例えば、自分が登録したい「◯△■✕」という名の玩具があるとします。特許情報プラットフォームで検索して、「◯△■✕」が電子機器のカテゴリーにあったとしても、玩具カテゴリーにない場合は、問題ありません。ご自身がサービス提供する用途を鑑みて、丁寧に商標の同一「指定商品・指定役務」を確認してください。

③出願する

調査を終えて登録したい商標が決まったら、特許庁に出願を行います。出願方法は、書類・インターネットの2種類です。また、自分で行うだけでなく特許事務所や弁理士事務所などの専門家に依頼して出願する方法もあります。

DUAL WORKがおすすめする商標登録のやり方は、特許事務所や弁理士事務所などの専門家に依頼し、代わりに出願してもらう方法です。特に複業でビジネスを作る場合、人生の中で商標登録を行う場面はあまり多くないと考えられます。機会が少ない一方で、調べなければならないことや、最適な「指定商品・指定役務」の区分数の検討、手続き上の労力などを考慮すると、専門家に依頼する方が精神的に楽なだけでなく、時間の節約にもつながります。商標登録であれば、事務所や弁理士にとっては一般的な業務になりますので、価格で選んでもそこまで大きな違いはありません。(専門事務所への相談手数料は1区分※あたり、5万円〜10万円が相場です。そこから大きく外れる見積もりとなる場合は相見積もりを取っても良いでしょう)。

なお、出願時にも区分数※に応じた登録費用が別途発生します。専門事務所を利用しても、1区分を取得するのにおおよそ20万円を見ておけば問題ありません。まずは1区分で良いのでサクッと取得して、安心できるようにしておきましょう。

※区分とは、商標登録をする際に、商標権を取る「指定商品・指定役務」のカテゴリのこと。全45種類の区分がある。

④登録料を納める

晴れて商標の審査が通った場合、特許庁から審査合格通知(登録査定)が届きます。通知から30日以内に登録料を払う必要があり、その金額は事前に登録を申請した区分数によって異なります。商標は一度取得すると10年単位での更新です。期限が更新される都度、登録料を納める限り、申請者だけが続けて商標を独占して利用できます。更新を怠らない限りは永続的に利用することができる、非常に強く守られた権利と言えます。

そして、商標を登録が完了すると「®」マークを自分のサービス名や会社などに利用することが出来ます。特許事務所を通して申請するとかなり強く注意されることですが、「登録商標マークをつけることができるのは、登録完了後」です。申請して認可されても登録前につけたり、そもそも申請していないものに「®」マークをつけることは絶対にやめてください。「®」マークを不要に利用することは「虚偽表示の禁止」に該当し、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金にするという規定です。

参考:商標法全文 から(虚偽表示の罪)
第八十条 第七十四条の規定に違反した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

また、商標出願についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参照ください。

参考記事:初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~

ドメインの取り方

近年のビジネスではインターネットを切り離して考えることは、とても難しくなったと言えます。その環境下において、中小企業や個人店の中には、自分のドメインを取ることを躊躇する人も多いのですが、とてももったいないと感じています。

それは独自のドメインを取得しないことは、自分のビジネスとして資産を構築することを放棄しているからです。

これまでもDUAL WORKでは人生100年時代の生存戦略として、資産を築く働き方を推奨してきました。その中で、インターネット上の活動を全て資産として残すためには、その箱となる住所(=ドメイン)が絶対に必要なのです。

確かに「〜.com」「〜.jp」「〜.co.jp」だけでなく「.net」「〜.me」「.tokyo」「.xyz」などドメイン自体にも複数の種類があり、消費者を混乱させている側面があることは否めません。だからこそ、どのようにドメインを選び、何個取得すればよいかを具体的に解説します。

結論:由緒あるドメインで1個取ればOK

インターネットには、「由緒あるドメイン」が存在します。それらは日本国内でビジネスをする上では画像にある3つで、そのうち1個のドメインを取得できれば、問題ありません。

上記の3つは、一般的に使用されているだけでなく、暗黙知としての信頼性があります。よほどプレミアムな文字列以外は、どのドメインで取得しても、コストに大した違いはありません。これらの3つのドメインを上から順に探し、自分の利用したいドメインを確保するようにしてください。

例えば、2019年11月、コンテンツ配信プラットフォーム「note」は、すでにユーザー数が月間2000万人を超えていたにもかかわらず、URLを「note.mu」から「note.com」にドメイン変更しました。その理由は、ドメイン変更による信頼性の向上と、コンテンツ検索の流入増加、そしてグローバル展開を見据えていたそうです。

これらの事例から読み取れるように、最初から独自ドメインで「〜.com」 「〜.jp」「〜.co.jp」を探して取りましょう。

参考記事:決死の覚悟でのぞんだnoteのドメイン移行。検索流入急落からの復活劇

①ドメイン名はシンプルかつアルファベットで

「.com」より前に挿入する文字は、一般的に企業やサービス名を使用します。利用者の任意で決めることができますが、既に使用されている場合は利用できません。実際にURLに直打ちすることで、既に利用されているか?を確認する事ができます。

ドメイン名は、日本語や漢字でも登録できますが、最終的にURLは英語で表示されます。そのため、アルファベットで登録した方が望ましいと覚えておきましょう。

例えば、「複業.com」と漢字でドメインを取得することもできますが、WEBサイトの裏側ではコードが変換されて 「xn--q6v178d.com」という記載になります。これでは、コンピュータしか判別できず、人間には分からないため、メールアドレスの@以降などで記載されても信用の底上げには繋がりません。もし使うのであれば「fukugyo.com」のようにアルファベットのローマ字で記載すると良いでしょう。

DUAL WORKもドメインは 「https://dual-work.com」を利用しています。幸い、「.com」ドメイン は取得できても、「https://dualwork.com」とハイフン抜きの名称では取得できませんでした。その理由は、一般名称に近いドメイン名は既存の業者や転売業者が既に抑えられており、高額で販売されているからです。

(https://dualwork.comをURLへ直接入力すると出てくるドメイン売買サイトへのリンクより)

しかし、これは逆にチャンスだと考えることもできます。2つの単語の間をハイフン「-」で繋ぐことで、安価でドメインを抑えられる他、資本体力がない競合が不用意に参加することの障壁として機能してくれるからです。

シンプルかつアルファベットでドメインを取得する際に、ぜひ様々な組み合わせや言い換えを利用してオリジナルのドメインを探してください。

②申し込む

ドメインの取得は、「Webサイト開設時のレンタルサーバー契約時に一緒に取得する方法」と「ドメイン専門会社で別途取得する方法」の2つあります。どのタイミングでどこの業者で取得しても大差は無いので、自身の目的や用途にあったものから業者を選べばよいでしょう。

レンタルサーバー業者例(Wordpress等のサイト開設と同時に取得できる)
ドメイン会社(とりあえずドメインだけ先に取得する場合も利用OK)

通常、上記のWebサイトの指示通りに取得をすれば問題ないのですが、消費者を悩ませるのは、ドメインの取得時に「ドメインの取り忘れはありませんか?」と聞いてくることです。こうした追加のドメインは、スパムや荒らしを警戒して取得をすすめられますが、基本的に必要ありません。無駄な固定費につながるので、不安に駆られても安易につくる必要はありません。

商標とドメインは、信頼の積み重ね

商標とドメインを取得しておくことは、顧客やクライアントに対して信頼感を与えることにつながります。またインターネットは、ドメインの歴史が長いほど信頼度も高いというスコアリングがなされます。人生100年時代に長く続けることが前提の複業では、商標やドメインを持っている歳月を長くすることで、時間を味方につけてビジネスを展開していくことが良いと断言できます。

これから複業でビジネスを始めるなら、世界に一つだけの商標とドメインで複業を始めてみましょう。いつか、皆さんがDUAL WORKを始める際に、ぜひこの記事を思い出していただければ幸いです。

執筆: 大畑朋子 
企画・編集: 新井勇作
デザイン: 中山亜希

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