「本業で得られた知見を活用して、複業を始めよう!」
DUAL WORKでは、複数の仕事を本業として取り組む「複業」について、2通りの始め方があると考えています。一つは、「本業で得られた知見を活用した複業」。もう一つは、「全く異なる分野でゼロから始める複業」です。
特に、本業で得られた知見を活用した複業は、既存の知見で手軽に始められるため、検討する方も多いのではないでしょうか。
ただし、守るべきルールを知らなければ、トラブルに発展する可能性も…。
そこで、本記事では厚生労働省の副業・兼業の促進に関するガイドラインに準拠した、複業をする際に知っておきたい3つの義務をご紹介します。
労働者が知るべき、3つの義務
厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」によると、労働者は「職務専念義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」を意識する必要があります。
職務専念義務・・・就業時間中は、職務に専念しなければならないこと
秘密保持義務・・・企業秘密を部外者に明かしてはいけない義務のこと
競業避止義務・・・企業が不利益になるような競業を行ってはいけない義務のこと
「本業があってこその複業」と言われるように、職務専念義務に注意を向けている方は多いかもしれません。一方で、副業先の企業で不用意な知見の提供などは、きちんと対応しないとトラブルに発展してしまうこともありえます。
そこで以下では、それぞれの義務についてより詳しく解説します。
1つ目の義務:職務専念義務
職務専念義務とは、就業時間中は職務に専念しなければならない義務のことです。
本業・複業に関わらず、雇用契約を結んで仕事に従事する以上は、職務専念義務があります。つまり、複業を行っているからといって本業をおろそかにしてはならないということです。
これはガチ。本業あっての複業ですから。複業にハマって本業をお粗末にするとか文字通り「本末転倒」ってやつです。
「複業やってるからこそ、本業も120%成果出す」くらいの気持ちでやるべし。 https://t.co/bCdFo6BuYh
— 西村創一朗 | 複業研究家・カタリスト | 『複業の教科書』著者 (@souta6954) July 14, 2021
複業研究家の西村創一朗さんが指摘する通り、本業で成果を出すからこそ複業でも成功できます。
過去に、DUAL WORKが公開した記事のなかで「サービスを受けるお客様にとっては、あなたが本業でも複業でも、そこは一切関係ない」とお伝えしたことがあります。もしも自分がお客様の立場になったときに、明らかに手を抜いているのがわかったら、その瞬間に二度と仕事の依頼をしないのと同じです。だからこそ、もし本業・複業でそれぞれ異なる温度感で向き合っているのであれば、今すぐ考え方を改めるべきです。
すべての仕事を本業として専念することが、仕事のみならず、最終的な自分自身の成長にもつながります。
2つ目の義務:秘密保持義務
秘密保持義務とは、企業秘密を承諾なく部外者に明かしてはいけない義務のことです。
多くの場合は就業規則等に秘密保持義務が明文化され、労働者はその責任を認識した上で雇用契約を結んでいます。万が一、労働者が秘密情報を漏えいした場合、企業は就業規則に基づいて懲戒処分や解雇、損害賠償の請求が可能となっています。
特に気をつけたいのは、メールや資料などの文面ではなく、ミーティングなどでの口頭での情報漏えいです。うっかり本業側の秘密情報を、信頼感を高めるためのエピソードトークとして漏らしてしまうことがあるようです。
また、本業で得られた知見を生かして有料コンテンツを作成する場合も、掲載情報の取り扱いには、細心の注意が必要です。当然、実際のビジネス情報が入らないようにダミーを装いますが、その作成者の出自と組み合わせると推測できるようなことが無いように気をつけましょう。
クローズドな場だからといって、安易に情報を掲載したり、公開したりしてしまうと企業に損害を与えるだけでなく、実は複業している本人の信用を毀損しています。情報は用法を守って、正しく使ってください。
もし、公開情報と秘密情報の区別がつかないまま複業をしている場合は、基本的に本業・複業問わず、職務上で知り得た情報はすべて秘密情報として取り扱うと良いでしょう。
3つ目の義務:競業避止義務
競業避止義務とは、企業が不利益になるような競業を行ってはいけない義務のことです。つまり、同業他社など競合への知見提供は違反にあたります。
当たり前ですが、自動車メーカーAに勤務するデザイナーが、競合にあたる自動車メーカーBのデザイン案件に参画することはできません。自動車メーカーAで知り得たノウハウや機密情報が競合に漏洩されることにつながり、所属するメーカーAに不利益がもたらされるからです。
こうしたメーカーなどは境界線がはっきりしているので、競業避止義務に当てはまるかどうかの判断に困ることはないほぼないでしょう。しかし、多くのIT企業は事業領域が変わりやすく、業務も多岐に渡ります。他の仕事と関連しながら進出したり・撤退したりを速いスピードで決断しています。そのため、個人のレベルでは判断が難しい場面もあるでしょう。例えば、ビズリーチ(証券コード:4194)で転職人材情報を取り扱うエンジニアが、複業で事業承継を扱う会社等で副業する場合などは、競業避止義務の点から避ける方が望ましいでしょう。(近年、ビズリーチは事業承継領域でサクシードというビジネスをスタートさせています。)
競業避止義務を遵守するにあたり、明確な線引は難しいかもしれません。しかし、複業を実践するのであれば、社会人としてのモラルを守り、所属企業に1円たりとも利益相反を与えない意識を持つことは重要です。
モラルを持って、正しく複業しよう
「一生懸命に本業と向き合うからこそ、複業で成果を出すことができる」
本業の知見を活かして複業する以上、大前提として本業で成果を出し続けることは忘れてはいけません。さらに、情報漏えい/競業避止に対するモラルも正しく守る必要があります。
一見すると、大変なように見えますが、これらを自己管理できるのであれば本業の知見を上手く活用し、本業・複業ともに恩恵を受けることができます。
ぜひ今回ご紹介した3つのルールは100%理解して複業し、ご自身の価値を最大限に生かしてください。
企画・執筆:大畑 朋子
編集:新井 勇作
デザイン:中山 亜希
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