副業・複業でありがちなトラブルを回避するマニュアル #dualwork

フリーランス型の複業のように個人で請け負う仕事は、業務の遂行のみならずトラブルの対処もすべて自己責任です。

「クライアントと連絡がつかず、報酬が支払われない」
「公開前のクライアント案件を自分のSNSで発表してしまい、トラブルになってしまった」

会社にいれば、上司や仲間が助けてくれたものの、そういうわけにはいきません。

そこで、本記事では、フリーランス型の複業をする際に起こりうる3つのトラブルと事前の対処法をお伝えします。

フリーランス型の複業で起こりうる3つのシチュエーション


複業で起こりうるトラブルは、普段から気を配っていればリスク回避できるものが多いのも事実です。以下では、3つのありがちなシチュエーションとともに、事前の対処法をお伝えします。

シチュエーション1:複業していることが会社にバレた


会社によって副業・複業に対する温度感は異なるものの、大前提として、複業を始めようと思ったら「今いる会社が複業を容認しているか?」就業規則を必ず確認しましょう。そして、基本的に所属する企業のやり方に従ってください。複業を容認していない企業であれば、複業をするために転職を検討する、もしくは報酬をもらわない形で複業とはせずに自己実現を目指す、など目的に応じて柔軟に対応することです。

もし仮に、複業を容認していない企業で複業を行う場合は自己責任です。ただし、複業は容認しているものの申告制とは知らずに複業を行っていた場合は、事後報告でも担当者に事情を丁寧に説明するべきです。その際に厚生労働省のガイドラインに従って「職務専念義務」「秘密保持義務」「競業避止義務」の3つを遵守していれば、基本的に企業は従業員の複業を禁止することはできません。

こちらの記事で、従業員(複業実践者)が守るべき義務について解説していますので、是非、参考にしてください。

シチュエーション2:報酬が支払われない


フリーランス型の複業を始めると、個人や企業などクライアントと直接金銭のやりとりをする機会が増えます。案外、この手の金銭トラブルは全額ではないものの発生することが非常に多く、具体例は枚挙にいとまがありません。この記事を執筆している最中にも、
大手企業から報酬が支払われない事案がTwitter上で話題になっていました。

継続して取引してきた信頼できるクライアントならともかく、はじめて取引する企業の場合は多少の不安が伴うかもしれません。大企業ならまだしも、事前にクライアントとなる相手を調べておくことで、信頼できる企業かどうかを確認できます。調べ方は企業のウェブサイトだけでなく、社長が発信しているSNSの内容や、企業の評判なども確認するべきです。さらに、もし見つけることができれば会社の人が出ているインタビュー記事なども読み込んでおくと良いでしょう。

そして、何よりもクライアントが法人の場合には、取引を行う前に契約書を結ぶことをおすすめします。何かトラブルがあった場合は、その契約書を元にやりとりが可能になるからです。契約書の中には、契約する金額で基準を設定して100万円以上の契約の場合は「半額の手付金」をいただくスキームにするなど柔軟に対応します。

クライアントが個人事業主や個人顧客の場合は「全額の前払い」または「半額の手付金」で請け負いましょう。最終的に自分自身の身を守るために、報酬は生命線となります。気をつけても、気をつけすぎることはありません。

その他の事前の防衛策として、駆け出しのフリーランス型の複業をする場合は、ランサーズクラウドワークスなどのプラットフォームを利用することもおすすめです。顧客からの直接支払いを避け、プラットフォームが代わりに報酬を担保してくれるので、報酬面での心配が一切なくなります。5-20%の手数料は取られてしまうものの、仕事での価値提供に集中できるので、使うメリットは大きいと言えます。特に、個人でクライアントと金銭のやりとりをする経験が浅い人は、まずはこうしたプラットフォームの利用をおすすめします。

こちらの記事に、クラウドソーシングを仕事の種類別、手数料別、支払いサイクル別でまとめておきました。よろしければ合わせてご確認ください。

シチュエーション3:公開前の案件を、自分のSNSで先に出してしまった


制作過程を共有してファンを獲得する『プロセス・エコノミー』が流行っています。自身でコンテンツを企画し、実践してみるのであれば過程の発信は良いかもしれません。しかし、クライアントワークで迂闊に過程を発信してしまうのは危険です。許可を取っているならまだしも、公開してはいけない案件で行ってしまった場合、ファンを獲得するよりも、信頼を失う結果に繋がりかねません。

原則として「クライアントワークは、公開されるまで秘密を保持する」必要があります。情報の取扱いに関するNDA契約を結ばずに、曖昧な条件で仕事をしてしまいがちな案件ほど、注意して取り扱いましょう。言われていない・契約に含まれていないから何をしても良い。ではなく言われていない・契約に含まれていないからこそ常識に含まれているのです。最終的な成果物を投稿することはないとしても、自分がその仕事を担当している事をほのめかす匂わせ投稿も慎むべきです。

もし、公開してはいけないクライアント案件を自身のSNS等で発信してしまった場合は、すぐに削除してください。その上で、クライアントに向けて自ら丁重にお詫びする必要があります。場合によっては損害賠償などの金銭的なペナルティを覚悟しなければなりません。

このような事態を起こさないためにも、日頃からSNSの取り扱いには注意が必要です。

自分の身は、自分で守る


フリーランスとして個人で仕事をする以上、あらゆる責任は自分で負う必要があります。

大事なことは、自分で自分の身を守る準備をすることです。クライアントに対する感度を磨いておくだけでなく、自分自身で契約書を準備したり、SNSの発信内容に気を配るなど注意しましょう。

事前の準備を怠らなければ、不意なトラブルに巻き込まれることは少なくなるはずです。

 

執筆:大畑 朋子
編集:新井 勇作
デザイン:中山 亜希

 

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