「自分のキャリアが面白おかしくなればいい」コンサル、フォトグラファー…複数の仕事を本業に。【職業=新井勇作】の軌跡 #dualwork

「複業を始めて人生がすごく楽しくなった」

 

力強い眼差しを携えてそう語るのは、DUAL WORK編集長の新井勇作さんです。

 

新井さんは新卒入社した大手コンサル企業で会社員として働くかたわら、2013年に趣味のカメラで複業をスタート。その後、「コンサル」と「フォトグラファー」2つの異なる仕事を両方本業とし、時代に合ったしなやかな生き方を模索するための社会実験「DUAL WORK」を実践しています。

 

そして2022年3月、新井さんの撮影する写真がDMM主催「世界女性デーイベント」広告として東京駅に掲載。新井さんは「複業を始めた時に漠然と考えていた一つの念願を果たした」と話します。

 

そんな新井さんから改めて複業を始めたきっかけを伺うとともに、これまでの活動で感じてきたことや今後の活動について、さらに複業を考える人へ伝えたいメッセージなど、今持ち得る全ての思いを余すことなく語ってもらいました。

 

新井勇作さん(Twitter:@arai_yusaku

アクセンチュア(金融サービス本部)を経て起業。複業フォトグラファーギルド集団「ONE PHOTO」代表。趣味のフォトグラファーで起業をしつつ、コンサルタントとしても働く。両A面の新しい働き方「DUAL WORK」を提唱する、新時代の働き方の研究者。複業に特化したオリジナルのコンテンツメディア「DUAL WORK」を運営。

 

「好きで楽しかったから」複業に本業と違うフィールドを選んだ理由

 

──新井さんはもともとコンサルタントの仕事をしながら趣味でカメラを始めているじゃないですか。最初から「複業をしよう!」と思っていたわけではなかったのでしょうか?

 

明確には考えていなかったのですが、当時から“一つの仕事以外、やってはいけないと決まっているわけではない”と強く感じていて。そこから休日まで会社に縛られるのは違うなと、好きなこと(カメラ)を始めたんですよ。それで始めたからには本業レベルの複業にしていきたいと考えるようになりましたね。

 

 

──本業と近しいフィールドで複業をする人もいれば、本業とは関係ないフィールドで複業をする人もいます。新井さんは後者だと思うのですが、それには何か理由が?

 

カメラが好きで楽しかったから、という理由が一番大きいです。カメラはコンサルとは違う頭の使い方ができるので、すごくいい刺激を受けて世界が広がったというのもあります。

 

僕、楽しくないと続けられないんですよ(笑)。どちらの複業の仕方も素晴らしいけど、僕は後者が合っていただけだと思います。

 

新井さんがこれまで撮影してきたポートフォリオの一部

 

──とはいえ、本業と近しいフィールドであれば培ってきたスキルや経験・人脈などが活かせますけど、違うフィールドだとまた一から築き上げていかなければならないですよね。

 

楽観主義者なので「ちゃんとやっていればいつか芽が出るだろう」という根拠のない自信に身をゆだねてきた部分はあります。

 

でも、技術の習得や営業の仕方、世間からの見つけてもらい方などにいろんなスタイルがあります。総合格闘技のように何を組み合わせて勝負していくか、だと思うんですよ。その組み合わせ方は決して一つじゃないし、培ってきたもの以外の技術で勝負してもいいと思う。僕はそれを強引にやってきたイメージですね。

 

ただ周りから本業レベルの評価をいただけるようになるとは思っていなくて。そこは正直想定外でした。

 

──「想定外」ということは、明確な目標みたいなものはあまりなかった……?

 

実は目標がなかったんですよ(笑)。今は”なりたい自分”や”何年後に達成したいこと”はすごく考えていますけど、当初は本当になかった。

 

だけど、自分の中で「これから先、複業はスタンダードになる」という価値観は大切に持っていました。その価値観を持ちつつ来るもの拒まずこなしていたら、いつの間にかここまできた感じですね。

 

──3月から東京駅に掲載されるDMM主催「世界女性デーイベント」広告の写真はまさに、これまで目の前に来た仕事を着実にこなしていった結果ですよね。

 

 

それでいうと、広告系の写真を撮れるカメラマンになりたいとはずっと思っていたかもしれません。やっぱり広告案件は一番お金が動くからこそ大きな責任が伴いますし、非常に効率良く稼ぐこともできる。

 

生活的な豊かさや仕事としての達成感はもちろん、「自分の人生、面白いことをやったぞ!」と言えることを求めてここまでやってきた感覚はあります。

 

DMM主催「世界女性デーイベント」広告の写真

 

東京駅中央通路14面の電照シートと14面のデジタルサイネージに写真が掲載

 

複業で培われた、ビジネスに対する圧倒的な当事者意識

 

──新井さんがカメラを始めたのは2013年なので、コンサルとフォトグラファーを両立した複業的な働き方は今年で9年目を迎えるということですよね。この9年の活動の中で特に苦労したこと、つらかったことはありますか?

 

いろんな人から馬鹿にされたこと。そして、自分自身が周りの目をすごく気にしていたことです。

 

自分の親世代など古い考えの人からは理解されず、「一つのものを追わないやつは大きな仕事ができない」と言われてきました。ほかにも本業としてフォトグラファーやコンサルティング一本で仕事をしている人の中には、「本気でやっていないのでは?」と思っている人もいたでしょうし……。僕は自分のフィールドで活躍しているつもりですが、そういう人の目が自分にとっての敵だったことはあります。

 

ただ徐々にですが、自分のやっていることにプライドを持って集中して取り組んでいたら、自然と気にならなくなってきました。

 

 

──では、複業の活動を通して気づいた、複業の可能性やメリットはありますか?

 

一番は、“ビジネスを一気通貫で触れる”こと。企画を立てて、営業して、サービスを提供して、お金を回収していく。この一連のフローをすべて終えた時、初めて自分の中で「ビジネスはこうやって回っているんだ」と体感できたんですよ。

 

大手企業のコンサルタントでビジネスを語っていたくせに、自分でビジネスを持ったことがなかった。その自己矛盾から解放されたのはまずは大きくて。視座が上がったというよりは、複業をしてビジネスマンとしての穴が埋まった感覚があって。圧倒的な当事者意識を持つことができました。

 

この自分の体感から、大企業の人やずっと会社員で働き続けている人すべてに複業を勧めているんですよね。

 

──それでいうと、すべての人に複業を勧めている一方、新井さんは「そうだ!30歳超えたら、福業しよう」と提唱されています。なぜ、“30歳”なんですか?

 

やっぱり社会人になってすぐ、ビジネスの春夏秋冬を経験していないうちに複業を始めても、専門性も馬力もないから苦労してしまう。一方、年齢が上がってから複業を始めようとすると体力がなくなるのでやる気も落ちてしまう。

 

あくまでも自分の経験でしかないけど、自分の本業の専門性が上がるタイミングと年齢的な体力ややる気が一番高いタイミング、ちょうど重なるのが30〜35歳だと思っているからです。

 

目指すは「ビジネスの高み」と「複業ムーブの加速」

 

──東京駅構内の広告写真掲載という一つの念願を果たし、複業を始めて9年目を迎えた今、次のフェーズに突入するのかなと勝手ながらに感じています。今後はどのような活動をしていこうと考えていますか?

 

ビジネスとして次の高みを目指そうと思い、4月以降はコンサルティング業務は一旦セーブしようと考えています。自分の会社(INFINITY AGENTS)をある程度きちんと回していくことはもちろんなのですが、実はもう一度会社員として働く環境が得られたんですよ。その会社が急成長しているフェーズですごく面白くて。今は上場準備に参画しています。まずはそこを上場させるのが次のミッションですね。

 

株式会社movにも2021年11月から参画。『口コミコム』を広めるために、コンサル時代の経験を活かしてレポートを発信するなどの活動をしている

 

その合間にしっかりと写真もやっていきたいなと。やらなきゃいけないこと、やりたいこと、できること、たくさんあるけどすべてできるほど器用じゃなくて(笑)。集中すべきものを選択して、駆け上がっていこうと思っています。

 

──DUAL WORKで複業を提唱していくことも、変わらず続けていく……?

 

もちろん! 僕、年初に「今年は複業で成功する人、有名になる人が出てくる一年になる!」と予想していて。複業が世の中に広がったり、バカにされるような風当たりが変わったりするんじゃないかなと。

 

それは自分もその一員になって盛り上げていきたいという意味もあります。僕自身、有名になりたいと思っているわけではないけど、多少なりとも「複業している人って仕事を楽しんで人生イキイキしていて素敵じゃん」と思ってもらえるような人にはなりたいと思っています。

 

 

好きも嫌いも隠さない生き方が、仕事に繋がった

 

──お話を聞いていて、新井さんって常に自己分析をしているんだろうなと。複業って選択肢がたくさんある分、悩むことや迷うこともたくさんあると思うんですよ。だけど、新井さんは自分という人間をしっかり理解した上で、やるべきこと進むべき道を選択しているから、そういう遠回りがないのかなと。

 

自分に正直であることが大切だと思っているんですよ。僕は自分の好きも嫌いも隠さないで生きてきた結果、それがすべて仕事に繋がっていった。

 

何かを改善すること・効率的に数字を作ることが好きだからコンサルをやっていたし、写真が好きだからフォトグラファーになりました。ほかにもウイスキーが好きだからウイスキーを調べることが仕事になったり、Googleマップが好きでずっと見ていたらGoogleマップで上場を目指す会社に希望する待遇で入ったり。

 

嫌いなものや苦手なことも隠さないでいたら手伝ってくれる人が集まってきてくれて。本来複業って一人でできることでもあるけど、法人化したのは自分一人でできることに限界を感じたからだったし。自分の本質に目を背けなかったことが、今の自分に繋がっていると思います。

 

──「自分に正直であれ」って人生を生きやすくするライフハックですね。そんな新井さんが現時点で考えている“なりたい自分”についても教えてください。

 

周りから「なんだろう、この人?」と面白がってもらえるような人になりたいと思っています(笑)。最初は「誰かのロールモデルになりたい!」とDUAL WORKを立ち上げたり自分の活動について発信したり、いろいろしてきました。でも今の自分って、その時々のタイミングやそれまでのキャリアが複合的に重なった結果でしかない。今からもう一度今の自分になれるかと言われたらできないと思うんですよね。ほかの人が真似できるようなロールモデルになることは諦めていて。

 

いろいろ教えたいこと、伝えていきたいことはたくさんあるけど、それを真似したところで同じような人間にはなれない。だから結論、「職業=新井勇作」として自分のキャリアが面白おかしくなっていればいいなと(笑)。

 

自分の基盤が築けている人は、今すぐ複業をすべき

 

──「ロールモデルにはなれない」と言っていますが、これから複業をしたい人に教えておきたい・伝えておきたいメッセージはやっぱり聞いておかねばとならないなと(笑)。いかがでしょうか?

 

複業は絶対にした方が良いです! これから先、僕たちはインターネットから離れられない時代を生きていかなければなりません。インターネットの存在が、県境や国境、公と私……さまざまな境界線を薄くしてきたと思っています。薄くなったことで境界線を軽やかに飛び越えて行ったり来たりできるし、境界線の上に立てるようにもなってきた。それを当たり前として生きていくことを考えた時、複業という働き方はすごくこの時代の文脈に合っていると思うんですよ。

 

 

だから、ある程度自分の基盤が築けている人は今すぐにでも複業をした方が良い。逆に先延ばしにしていると自分の目指すポジションがなくなる可能性もあるから、早いタイミングに始めておけば将来的にすごく意味を持つと思います。

 

──様子をうかがっているくらいなら、早めに行動した方がいいと。

 

複業がまだまだ黎明期だからというのはありますが、それ以外にもクリエイターでポジションを狙っている人は早い方が良いと思っていて。

 

というのも、社会学者のボーヴォワールが書いた『老い』という、いろんな職業の人を調査して老いた時どうなっているかを比較した内容の本を、最近テレビで紹介されたことをきっかけに読んだんですよ。若ければ若いほど高い業績を出せる職業もあれば、老いてから業績が出せる職業もある。その中で芸術家は、「老いてもなお、最高傑作が生み出せる」と書かれていました。つまり、長い時間をかけて多くの経験を積んでいくことが良い作品づくりに繋がるんですよね。だからこそ、クリエイターを目指す人は早く始めた方がいいと思います!

 

──経験が血肉になって作品に表れるということですね。

 

おっしゃる通りです。

 

あとは純粋に、複業で人生を豊かにしてほしい。僕自身、もともと自分の人生を楽しいと思っていましたけど、複業を始めてから輪をかけて楽しくなったんですよ。仕事を取るために自分自身にタグ付けして発信して世の中に見つけてもらえるようになって、「職業=新井勇作」になって、人生がより楽しくなった。自分の名前で仕事をすることが人生の豊かさにも繋がるなって。もっと多くの人にそれを体感してほしいなと思っています。

 

 

 

編集後記

豪快に笑いながら「自分はロールモデルになれない」と何度も口にした新井さん。しかし、裏を返せば「真似をするのではなく、自分に正直に生きてほしい」というメッセージとも受け取ることができます。

 

そしてそれは、新井さんの活動や生き方の軸である“自分に正直であれ”に繋がっているんですよね。自分に素直になることは、複業に関わらず“自分の人生を生きやすくするライフハック”でもあります。そういう意味で、新井さんはある種のロールモデルになり得るのではないかと感じました。

 

 

聞き手&執筆: 阿部 裕華
デザイン: 中山亜希
撮影:前田勇輝 (ONE PHOTO)

 

 

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