2018年は「副業元年」と呼ばれたことを、みなさんはご存知ですか?それから3年が経過した2021年では、コロナの影響もあり、多くの大企業で副業解禁の流れが加速しています。
一昔前の副業は、いわば「本業とは別に、隠れて小銭を稼いでいる」イメージだったのではないでしょうか?しかし、時代と共にその固定観念は変わり始め、現在では多くの人が複業を始めています。それに伴い、代表的な複業の一つの形態である「スキルシェアサービス」も大幅に規模を拡大しています。
一方で、複業に対する正しい意識を持ち合わせている人はまだまだのように感じます。日本の新しい「はたらく」を考えるDUAL WORKでは「複業を始める前に、本業と向き合うべき」と提唱しています。
本記事では、なぜ本業と向き合うことが大切なのか?そして、本業がどのように複業に活きるのかを実体験を交えてご紹介します。
本業に対する「逃げ」の姿勢が「複業の失敗」を招く
DUAL WORKではこれまでに多くの複業実践者の方にインタビューを行ってきました。
その中でも、複業が上手くいかない人に共通点するのは本業に対する「逃げ」の意識です。
理由は分かりませんが「本業では中途半端な結果しか出せてないけれど、複業だったら上手くいくかもしれない」と考える人は少なくありません。しかし、長年従事している本業で結果が出せていないのに、複業で成功できると言える根拠はどこにあるのでしょうか?
実際問題、そういった人が複業をしたところで「仕事の本質」が掴めていないため、複業側に応用することができず、成果が現れない可能性が高いと言えます。
以前、メーカーで勤務されている30代の男性からお話を伺ったことがあります。彼は趣味が高じて副業としてカメラマンを始めたそうです。しかし、こだわりが強いこともあり撮影の時間がかかりすぎるだけでなく、プライドも高くクライアントの飲食店のビジネスについても評価を始めるなど、カメラマンとしての仕事の本質を見誤っていました。本来ならば「お客様の満足のいく撮影を行うこと」がカメラマンの仕事であるにも関わらず、それに気が付かなかったがゆえにうまく顧客獲得ができずにいました。
また、複業で思うような結果が出せない人は、「本業」をメインとして捉え、「副業」をサブとして捉えて働いている場合が多くあります。あくまで普段は本業に集中し、片手間で何かしらの仕事をしてしまう。副業という名前に胡座をかいて「なんとなくできる」といったレベルで仕事をしている傾向が高いように思われます。
DUAL WORKとして一つ言えることは、その姿勢が仕事のクオリティを下げているということです。クライアントや顧客が期待していることは、仕事のアウトプットとそのクオリティです。そこに、サービス提供者が本業でも副業でも関係がないのです。
「所詮、副業だからクオリティが低くてもしょうがない」
「副業なんだから、手を抜いて稼ごう」
このような考え方では、遅かれ早かれ信用を失います。本業と同レベルのクオリティで価値提供しない限り、単価や知名度を上げることは極めて難しいと考える方が素直でしょう。だからこそ、自分が関わるすべての仕事に対して「プロ意識」を持って行う必要があるのです。
DUAL WORKが提唱する複業は、いわば「複数の本業を持っている状態」のことです。どの仕事に対しても100%の力を注ぐからこそ、相互効果を生む環境になりえるのです。その為にも、まずは本業に100%で取り組み、きちんと成果をだすこと。そして、そこで得られたスキルや知見を通して複業に活かしましょう。自分が関わる仕事の全てを本業として結果を出しにいくことが、何よりも確実な複業の成功法則です。
本業で得られた知見こそが、複業を飛躍させるカギに
ところで、本業ありきで複業を始めることは、私たちにどのようなメリットをもたらすでしょうか。ここでは、以下3つのポイントをご紹介します。
1. 本業ありきの「複業」だから、大胆な選択肢を取れる
2. 本業があるからこそ、存在にエッジが立つ場面がある
3. 本業で得られた「スキル」が、複業の価値を向上させる
1. 本業ありきの「複業」だから、大胆な選択肢を取れる
転職や独立は、万が一失敗してしまった場合に取り返しがつきません。しかし、生活を安定させる本業がある複業は、仮に失敗したとしても複業側を精算することで、経験値を残して再スタートをすることができます。これは本業というセーフティーネットがあるからです。収入や居場所が担保されているからこそ、複業では大胆に行動することができます。
DUAL WORK編集長の新井は、もともとは外資系企業で働きながら週末に複業として写真撮影の仕事を開始しました。コンサルタントからカメラマンという全く異なる分野での複業でしたが、本業が安定していたからこそ、思い切りチャレンジングな選択肢を取ることができました。
このように、本業をやりながらも、あえて異なる仕事を複業としてチャレンジすることで、自分の理想を追求するような大胆な選択肢を取れることがあります。
2. 本業があるからこそ、存在にエッジが立つ場面がある
過去にお話を伺った別の方で、外資系の化粧品メーカーで働く女性がいます。彼女は複業で週末などの空いた時間を利用して、趣味の延長で始めた着付け師の仕事をしています。成人式や結婚式など着物の着付けが必要な場面で、お客様からお声がけをいただくことで、着実にお客様を増やし、順調にビジネスの拡大ができています。
ご本人へお聞きすると、本業には影響を出さないために複業をする日はいつも以上に段取り良く仕事を早く終わらせるなど、随所にプロフェッショナルとしての工夫が垣間見えました。
本業として女性の美しさを追求しているからこそ、それと親和性のある複業の着付けにもその姿勢が現れ、エッジが立ち、週末起業ならがらも多くのファンに支えられています。
3. 本業で得られた「スキル」が、複業の価値を向上させる
先ほどもご紹介したように、DURL WORK編集長の新井は本業でコンサルタントをしていました。複業で写真撮影の事業を始めたとき、コンサルティング業務で培った経験が様々な場面で活きたと振り返ります。
その一つが、詳細な業務フローとマニュアルの作成です。コンサルティングの業務で培った知見をもとにカメラマンの業務内容や予約の仕組みをツールとして確立しました。その結果、マニュアルを作成することもでき、バック業務を任せる担当者も育成することができました。そうして、無駄なエネルギーを割くことなく予約や撮影会場手配などの業務を省エネで回すことに成功しています。
本業で得たスキルを活かして、業界の異なる複業側で実践していく。そうすることで、仕事における多くの気付きを付加価値に変えることができます。
あらゆる仕事はすべて「本業」
「複業を始める前に、本業がある」
複業をこれから実践するなら、ぜひ覚えていただきたい言葉です。本業で成果がでないからと言って、複業に活路を見出そうとするのは本末転倒です。もし、そうであれば夢中になれる本業を見つけるために転職活動も必要でしょう。
本業で成果を上げてきちんと自分の居場所を作らない限り、複業で成功することはあり得ません。だからこそ、本業と副業という「メインとサブで考えるのではなく、あらゆる仕事をすべて本業の意識で取り組む」ことです。複業に取り組む際は、そのことを今一度、自分自身に問いかけてみてくださいね。
執筆: 大畑朋子
企画・編集: 新井勇作
デザイン: 中山亜希
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