不動産投資を始める上で、気になるのが「物件の買い方」です。目利きができなくて、「最初の1棟目でしくじったらどうしよう…」と考えている方も少なくないと思います。
不動産投資を成功に導くのは「仕入力」。素人が不動産投資で負けない方法について、サラリーマン不動産投資家のなおPさんにお聞きします!
後編では、絶対に買ってはいけない物件、そしてなおPさんのこれまでの投資歴について教えてもらいました。
なおP
Twitter:@naopictures
30代半ばの男性会社員。大学卒業後、日系の有名企業に10年以上勤務。2020年から始めた大家業は現在法人3期目で1棟6戸、戸建3戸を運用している。その他、個人で区分1戸を所有する。時価純資産0.45億、総資産1.3億前後。満室賃料/借入額返済比率は約30%。
これだけは危険!?向こうからやってくる「ワンルームマンション投資」
大畑:引き続き、不動産投資について教えてください!前回、不動産投資を始めるなら「自宅を買ってみる」のが良いとおっしゃっていました。逆に、「こんな物件は買っちゃダメ!」といったものはありますか?
なおP:もちろん、あります!まず、「不動産業者から持ちかけてくる物件は全てクソ」だと思った方が良いです。
大畑:いきなり、ぶっ飛んだ答えですね(笑)。
なおP:ちょっと考えてみてください。例えば、本当に良い物件であれば、売りたくないですよね。だって、オーナーも所有していて儲かるのだから。むしろ「この物件は、大変オススメです!」と来るものは、あきらかに怪しいんです。
大畑:たしかに、売りたい背景には何かありそうですね…。
なおP:それで言うと、低コストで始められることで人気の「ワンルームマンション投資※」は、あまりオススメできない投資だと考えています。なぜなら、購入時点で不動産業者の利益が最低10%程度出るような価格で設定されているからです。しかも、家賃から月々のローンを返済したとしても赤字になることが多く、築年数が経つにつれて家賃が下がっていくと、もっとマイナスになります。
※ワンルームマンション投資:マンションの1室を購入し、入居者に貸し出すことで家賃収入を得る投資方法。
大畑:だいぶ恐ろしいですね…。
不動産投資で負けないために…
大畑:私、不動産投資の最初の一手で負けたくないです。どうすれば、良いのでしょうか?
なおP:わかります。負けたくないですよね。私も負けたくないです(笑)。
一番大事なのは、「仕入力」ですね。仕入れさえ間違えなければ、負けることはほぼないと思います。もちろん、南海トラフ地震などの天災が起きれば、別ですが…。
大畑:「仕入れ」が勝敗を分けるんですね。ただ、どこから仕入れたら良いのでしょうか。
なおP:投資対象となる不動産は、やはり信頼できる不動産屋から購入・・・してはダメです(笑)。そもそも初心者が、いきなり見ず知らずの不動産業者から信頼関係を築くのは困難です。普通に買いに行くと、相場以下の物件しか紹介されないでしょう。
大畑:なんと!知りませんでした…。
なおP:世の中には、いろいろな仕入れ方法があるので、勉強しながら自分に合ったものを見つけるのが良いと思います。
大畑:ちなみに、なおPさんはこれまでどのような物件を購入してきたのでしょうか?
なおP:私がこれまで購入した物件は、区分自宅、新築の1棟アパート、築古戸建てですね。
大畑:ぜひ一つずつ詳しく教えてください。
なおP:もちろんです。はじめて買った物件は、区分自宅です。竣工前だったので、多少リスクはありました。工場跡地で競馬場も近く、馬の匂いもし、「こんなところ買って大丈夫なのか?」と思っていました。ですが、冷静に周辺相場と比較すると20%以上安かったので、2017年に購入しました。その後、45%程上昇し、現在は賃貸しています。
大畑:不動産投資の一発目から、非常に買って良かった物件を選び抜いたんですね。次の新築1棟アパートはいかがでしょうか。
なおP:不動産投資を本格的に始めようと、会社を設立しました。そこではじめて事業者として、横浜に新築の1棟アパートを購入しました。あまり評判の良くない不動産業者から売り込みが来たのですが、家賃が低い割には利回りがよく、客付けさえ頑張れば利益が取れそうでした。そこでリスクを承知の上、フルローンで買ってみました。
大畑:結果、客付けはうまくいったのでしょうか。
なおP:残念ながら、客付けは苦労はしており、常時満室は難しい状況です。でも、それでも不動産投資家として踏み出してみてよかったと感じています。
大畑:いろいろ苦労もあったんですね。残りの築古戸建ても、ぜひ聞かせてください。
なおP:みなさんにとって、だいぶ再現性の低い話になってしまうかもしれませんが…。せっかくなので、ご紹介しますね。
地方の銭湯で知り合ったおじさんがリフォーム業者であることを知り、「築古戸建てに興味があるんです」とお話しました。そしたら、友人で処分に困っている人がいると教えてくれ、売主さんと直接交渉して100万円希望のところ30万円で購入しました。そして、それを現在は修繕せずに、月5.5万円で賃貸中です。
大畑:極めて良い条件の物件だったんですね。
なおP:そうですね。他の物件も地方で仲良くしている焼肉屋のオーナーから2件の築古戸建を売っていただける売主さんの情報を得られました。築古というリスクはありますが、友人経由で売主に直接アクセスできたので、非常に安く買えた実績があります。こちらも現在は賃貸に出しており、無事に客付けできています。
大畑:まさに、向こうからやってくる物件ではなく、自分で探して出てきた物件ですね!素朴な疑問なのですが、その物件に対して客付けはどのように進めたのでしょうか?
なおP:良い質問ですね。もともと、副業に向く不動産の条件として、①客付けがスムーズ 、②管理工数がほとんどかからない、③契約期間が長期の3点を挙げていました。これを実現するときに、重要なのは協力関係にある不動産会社の方です。
私の扱っている物件は、比較的家賃が安いのですが、そうした方々にも必要とされる住宅を供給する凄腕の不動産会社があります。その業者と良い協力関係を築けているからこそ、客付けがスムーズになっていますね。
投資スタイルの確立が、不動産投資の第一歩
大畑:なおPさんの不動産投資スタイルを伺ったところで、一つ気になることが見つかりました。
なおP:ぜひ、なんでも聞いてください。
大畑:もし不動産投資を始めるなら、「利回り」と「売却益」のどちらを重視すべきでしょうか?
なおP:良い質問ですね。先に結論をお伝えしてしまうと、その人の投資戦略によるんです。買った物件を手っ取り早く高値で売却して利益を取りたい人もいれば、じっくり運用して、保有期間中のトータルリターンを大きくしたい人もいます。
大畑:なるほど。前回お伝えしていただいた、投資スタイルを確立し、そこから不動産投資を始めるべきという話に通じるんですね。
なおP:そうですね。まさに投資戦略は人それぞれです。私の投資スタイルもぜひ参考にしつつ、ご自身に合った物件、そしてスタイルを見つけていってほしいですね。
大畑:そうですね。不動産投資とは縁がないかもしれない…と感じていましたが、取材を通してより身近なものに変わりました。もっと勉強して、私も不動産投資を始めていきたいです。今日はありがとうございました!
編集: 新井勇作
取材・執筆: 大畑朋子
デザイン: 中山亜希
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